五層構造で考える、資産の取り崩し順序

資産形成の話では「どう増やすか」が中心になりがちだ。
だが、長く資産と付き合う上では、どう取り崩すかの方が重要になる。

取り崩しには正解があるわけではない。
しかし、順序を決めておかないと、相場や感情に振り回されやすくなる。

この記事では、私が採用している五層構造モデルを前提に、
「どこから、どのように取り崩すつもりなのか」を整理しておく。

なぜ取り崩し順序を決めておく必要があるのか

多くの不安は、金額の不足ではなく、
判断を迫られる場面が多すぎることから生まれる。

  • 相場が下がったら売るべきか
  • どの資産を崩すべきか
  • 今は使ってよい局面なのか

これらをその都度考えていると、
資産が増えても不安は減らない。

だから私は、
取り崩しにも「設計」を持ち込むことにしている。

五層構造モデルのおさらい

私の資産は、以下の五層に分けている。

  1. 生活防衛・即時資金(預金など)
  2. 流動性資金(MRF・MMF)
  3. 国内株式
  4. 海外株式・ETF
  5. 長期固定層(iDeCoなど)

重要なのは、
上(5)に行くほど変動が大きく、下(1)に行くほど安定しているという点だ。

この並びは、
「増やす順序」ではなく、扱い方の違いを表している。

取り崩しの基本方針

私の取り崩し順序は、極めて単純だ。

下の層から使い、上の層にはできるだけ触れない

具体的には、

  • 日常の支出や一時的な出費
    → 預金・流動性資金から対応
  • 余剰が出た場合
    → 自然に下の層を補充
  • 相場が悪い局面
    → 上の層は原則として触らない

という考え方を取っている。

相場下落時に「売らない」ための設計

相場が大きく下がったとき、
最もやってはいけないのは、不安からの売却だ。

そのために、

  • 生活費は下の層で数年分確保しておく
  • 株式層は「今使う前提」にしない
  • iDeCoはそもそも出口を遠くに置く

という設計にしている。

これにより、

下がっているときに
「何を売るか」を考えなくて済む

状態を作っている。

反発局面でも判断を増やさない

相場が回復・上昇した局面でも、
判断は意外と増えやすい。

  • どこで利確するか
  • 一部を現金化すべきか

だがここでも、
五層構造は判断を減らしてくれる。

  • 原則として、株式層は放置
  • 配当や収入などのフローで下の層を厚くする
  • 偏りが大きくなったときだけ調整する

「毎回最適解を探さない」ことが、
結果的に安定につながると考えている。

iDeCoは取り崩し順序の「外」に置く

iDeCoについては、
取り崩し順序の中に含めていない。

  • 途中で触らない
  • 日常の資金計画に組み込まない
  • 使う時期を明確に区切る

ことで、
他の資産と混ざらないようにしている。

これは、
制度が無くても成立する設計の外側に置いている
という意味合いに近い。

取り崩しを「戦略」にしない

世の中には、

  • 定率取り崩し
  • 定額取り崩し

などの方法論が存在する。

だが私は、
取り崩しを戦略化しすぎないようにしている。

理由は単純で、

戦略を考え始めると、
判断が増えるからだ。

私にとって重要なのは、

  • 生き延びること
  • 判断を減らせること
  • 継続できること

この3点である。

おわりに

資産形成は、
「どれだけ増やしたか」よりも、
「どう扱い続けられるか」が重要だ。

取り崩し順序を決めておくことは、
将来の自分の判断を、今の自分が減らしておく行為でもある。

次回は、
この取り崩し設計と「貯蓄率 × 資産成長」をどうつなげているか
整理する予定である。

この記事を書いた人 Wrote this article

ぜんたろう

ぜんたろう

FP2級/宅建士。お金の話が好物。インデックス投資がメインなのに個別株・ETFにも手を出す。ここ数年で投資スタイルが確立した筈だがジャンク株に心を奪われがち。 --- 永遠の見習いプログラマ (SIer複数→スタートアップ複数→大きめベンチャー)

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