プログラミングスクールを卒業した異業種からの転職者に求める3つのこと

この記事を書いた理由

この話を知り、似た境遇の方の採用に関わったこともある為、どういう言葉を彼らの入社時に伝えるべきかを考えました。ツイートの内容についてあれこれ言う記事ではありません。

対象読者

  • プログラミングをスクールを卒業し、これからIT業界で頑張ろうとしている方々。

結論

  • 焦らないでください。
  • 助言には素直に耳を傾けてください。
  • 自分の考えを伝えることを習慣づけてください。

本文

転職先の想定はいわゆるWeb系スタートアップと言われる数十人規模の会社です。

文中では職業の呼称を「エンジニア」に統一しています。

『焦らないでください。』

異業種に飛び込むのには不安を伴ったことでしょう。ましてやプログラミングスクールに行った時点で金銭の負担も発生し、さらに人生で最も貴重な資源である時間をかなり費やされたと思います。希望する企業の選考中には期待と不安で眠れない日々を過ごされたことと思います。そして迎えた入社初日、感想は次のいずれかだったのではないでしょうか?

  • 「こんなのでいいの?」
  • 「やばい、全然分からない。」

前者はそもそも本人のレベルが高いのかもしれませんが、入る企業を間違えた可能性もありますので少し様子見しましょう。ここで話題にしたいのは後者です。ここでの結論は、「それが普通」です。20代の頃からエンジニアの採用面談を経験していますが、昨今のプログラミングスクールでは複数の課題を独力またはチームでこなしているように見受けられます。単純な事実を伝えると、それはチュートリアルに毛が生えたレベルでしかないのです。でも安心してください。採用に携わったエンジニアは「あなたにチームを引っ張ってほしい」のではなく、「戦力として育ってほしい(そしてタスケテ…)」と考えているのが普通です。一度にすべて覚える必要はありません。同僚の振るまいを観察し、毎日新しいことを覚えていきましょう。「昨日知らなかったことを1つだけ今日覚える」を実行できれば充分です。

『助言には素直に耳を傾けてください。』

もし現時点であなたがこれを実行できていない場合、チームに悪影響のみ与えている可能性が高いので退職をおすすめします。しかし、これはおそらく今のあなたに向けた話ではありません。実は、そうならないでくださいという反面教師的な話です。残念ながら加齢と共に人は衰えます。個人差はありますが、新しいことを受け付けづらくなったり過去の成功体験に縋る傾向があります。あなたがエンジニアとして長生きしたいのであれば、固執ダメ、絶対ということです。エンジニアとしてのキャリアを歩む上では次の状態に気をつけてください。

  • ジュニアからシニアになる辺り:全能感を覚え始めている。
  • シニアになった後:チーム内であなたと周囲の実力差が非常に大きい。

この状態自体が悪いのではありません。ただ、こういう状態で「自分が正しい。だから自分の言うとおりやるべきだ。」と主張し始める人が偶にいます。どちらも『Team Geek』でいう「有害な振る舞いをする人」の予備軍と言えるでしょう。あなたが30歳児/40歳児/50歳児として同僚から扱われる日が来ないことを願っています。知っているべき情報を把握していない、あるいは特定の人とのみ毎日会話していることに気づいた場合、日々の行動を省みることをおすすめします。もし転職後にそのような状態に陥っている場合、今自分がいるのは前の職場ではないという当たり前のことを再認識してください。多くの場合、あなたに対する信用実績がリセットされている為、新たに積み上げる必要があります(SNSのフォロワー数は信用にはなりません)。今の職場のやり方とあなたの経験・知識をうまく融合し、あなたも周囲も幸せになる方法を探ることをおすすめします。

『自分の考えを伝えることを習慣づけてください。』

他人の心を正確に読める人はおそらくいません。仕事だけでなく家庭でも同じですが、言わないと伝わりません。あなたの常識は相手の非常識です。もちろん職場の同僚とは同じ目標を共有している筈ですが、やはり言わないことには伝わりません。

  • 自分にとっては難しそうな開発タスクを説明された後に「進められそうですか?」と聞かれる。
  • コードレビューで書き方の意図を尋ねられる。

業務においては、事実と意見を「あなたの言葉で」説明することを常に求められます。場合にもよりますが、「xxxに書いてあったから」「プログラミングスクールでそう習ったから」「oooさんが言ってたから」は基本的にNGと考えてください。もし説明できない場合、最終的に困るのはチームです(あなたの評価は言わずもがなです)。コミュニケーションとは世間話をすることではありません。あなたが考えていることと相手の考えていることを互いの理解度に合わせて過不足なく正確にやりとりすることです。最初はあなたが教わることが多いでしょう。ただ、早ければ1年もしない内にあなたが教える日が来ます。その時は「これくらい分かるだろう」や「教えてあげる」という姿勢ではなく、過不足のない正確な表現を心がけてください。それは、公私問わずあなたを助ける習慣になる筈です。

あとがき

新人エンジニアに対する業務遂行時の守ってほしいリストは別途持っていますが、それより浅い話にしました。怖がらなくてよいけど真摯に取り組んでほしいという、当たり前の話です。実際にはこちらが心配になるくらい真剣に勉強や仕事をされ、年単位で活躍される方がほとんどです。冒頭のツイートのような方はごく一握りだと信じています。

プログラミングスクールの是非については触れませんが、もしあなたが若くて時間も金もある場合、プログラミングスクールではなく大学の情報系学部に入ることをおすすめします。海外の大学でもオンラインで学べるようですし、よい時代になったものだなと考えています。

この記事を書いた人 Wrote this article

ぜんたろう

ぜんたろう

FP2級/宅建士。お金の話が好物。インデックス投資がメインなのに個別株・ETFにも手を出す。ここ数年で投資スタイルが確立した筈だがジャンク株に心を奪われがち。 --- 永遠の見習いプログラマ (SIer複数→スタートアップ複数→大きめベンチャー)

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