投資の話になると、多くの場合「利回り」が語られる。
どの銘柄が伸びるのか。
どのETFが優れているのか。
年利何%で運用できるのか。
しかし長期の資産形成を考えるとき、本当に結果を左右する要素は別にある。
それは 貯蓄率(入金力) である。
最近の投資界隈では「入金力」という言葉で語られることが多いが、本質は単純だ。
どれだけの資金を、どれだけ長く投資に回せるか。
資産形成の結果の大部分は、この一点で決まる。
資産形成の基本構造
資産形成の構造は、実は非常に単純だ。
資産 = 入金額 × 運用期間 × 利回り
それぞれの意味は次の通りである。
- 入金額:どれだけ投資に回せるか
- 運用期間:どれだけ長く続けられるか
- 利回り:どれだけ増えるか
投資の世界ではどうしても「利回り」に注目が集まりやすい。
しかし冷静に考えると、この三つの要素のうち個人が最もコントロールできるのは 入金額 である。
利回りは思ったほど差がつかない
長期投資を前提にすると、利回りの差はそれほど大きくならない。
インデックス投資を想定すれば、長期のリターンは概ね
年3〜7%
程度の範囲に収まることが多い。
もちろん短期では差が出る。
しかし20年、30年という長期では、個人投資家が「利回りで大きく差をつける」ことは簡単ではない。
つまり
利回りは思ったほどコントロールできない。
ここに資産形成の前提がある。
貯蓄率が資産形成を決める理由
一方で、貯蓄率は比較的コントロールしやすい。
例えば次の二人を考える。
A:年間100万円投資する
B:年間300万円投資する
利回りが同じなら、資産の差は時間とともに大きく開く。
複利は強力だが、複利が大きな力を持つのは 元本が十分に大きい場合 である。
言い換えれば
複利を決めるのは、利回り以前に元本である。
そしてその元本を作るのが、貯蓄率だ。
入金力は暴落耐性でもある
貯蓄率の高さは、単に資産を増やすだけではない。
それはそのまま 暴落耐性 にもなる。
投資の世界では、暴落は必ず起きる。
問題は暴落そのものではなく、そのときの行動である。
資金余力がある人は
- 安くなったときに買い増しできる
- 投資を続けることができる
逆に余力がないと
- 不安になって売却してしまう
- 投資をやめてしまう
という行動になりやすい。
投資のリターンは、マーケットそのものよりも 投資家の行動 によって決まることが多い。
入金力は、その行動を安定させる。
資産形成は金融の問題ではない
ここまで見ると分かる通り、資産形成は単なる金融の問題ではない。
むしろ
生活設計の問題である。
どれだけ投資できるかは
- 収入
- 支出
- 生活コスト
によって決まる。
つまり資産形成の本質は
投資戦略ではなく、生活設計である。
支出が必要資産を決める
もう一つ重要な点がある。
それは 支出が必要資産を決める ということだ。
年間支出が大きければ、必要な資産も大きくなる。
例えばFIREの目安として、よく次の式が使われる。
必要資産 = 年間支出 × 25
これは、年間支出の4%を取り崩すという前提から導かれる。
つまり重要なのは
- どれだけ資産を増やすか(貯蓄率)
- どれだけ支出を膨らませないか(生活コスト)
この二つである。
まとめ
資産形成の話になると、どうしても
- 利回り
- 銘柄選択
- マーケット予測
に注目が集まりがちである。
しかし長期で見ると、結果を左右するのは
- 貯蓄率
- 入金力
- 投資を続けられる生活設計
であることが多い。
利回りを1%上げることよりも、
貯蓄率を数%上げる方が、結果に与える影響は大きい。
資産形成は投資テクニックの競争ではない。
生活設計の積み上げである。
-
「レバー万能論」の罠──なぜ単純な解決策を求めてしまうのか
記事がありません
この記事が気に入ったら
フォローをお願いします!
この記事を書いた人 Wrote this article
ぜんたろう
FP2級/宅建士。お金の話が好物。インデックス投資がメインなのに個別株・ETFにも手を出す。ここ数年で投資スタイルが確立した筈だがジャンク株に心を奪われがち。 --- 永遠の見習いプログラマ (SIer複数→スタートアップ複数→大きめベンチャー)