最近、社会保険料や税負担に関する議論を見るたびに、
「払うだけ無駄なのではないか」
と感じる人が増えているように思う。
もちろん、税金や社会保険そのものを否定したいわけではない。
問題は、
「負担」に対する納得感が薄れていること
である。
「高負担」そのものが問題なのではない
よく誤解されるが、多くの人は「絶対に負担したくない」と言っているわけではない。
むしろ、
- 将来がある程度安定する
- 老後不安が軽減される
- 子どもを育てやすい
- 制度が長期的に維持される
のであれば、一定の負担増を受け入れる人は少なくないと思う。
問題は、
負担だけが増え、将来像が見えないこと
である。
現役世代から見える風景
現在の日本では、
- 社会保険料の上昇
- 少子高齢化
- 年金不安
- 医療費増加
- 制度変更の繰り返し
が同時進行している。
その結果、多くの現役世代は、
「払っても、将来どうなるのか分からない」
という感覚を持ちやすい。
さらに厳しいのは、
少子化対策と制度設計が噛み合っていない
ことである。
本当に優遇されているのは誰なのか
現在の制度では、子どもを育てる世帯は、
- 教育費
- 住宅費
- 時間コスト
- キャリアへの影響
を引き受けながら、将来の労働力や納税者を育てている。
一方で制度上は、
- iDeCo
- NISA
- 各種控除
- 資産形成
などを効率的に使える人ほど、有利になりやすい。
もちろん、これ自体は合理的な制度でもある。
私自身も、現状の制度下では iDeCo や NISA を活用し、合法的に負担を減らそうと考える。
しかし、これは裏を返せば、
「制度を信じているから払う」のではなく
「制度を信じ切れないから防御する」
という行動でもある。
「自助努力」が合理化する社会
現在の日本では、
- 節税
- 資産形成
- 控除活用
- 法定優遇の最大利用
が、極めて合理的な行動になっている。
なぜなら、
「まず自分で守る」
ことが優先されるからだ。
結果として、
- 制度への信頼はさらに低下する
- 子育てより防御的資産形成が優先される
- 現役世代は将来に悲観的になる
という循環が起きる。
必要なのは「負担減」だけではない
本当に必要なのは、単純な減税だけではないと思う。
重要なのは、
「この負担が、どの未来につながるのか」
を示すことだ。
例えば、
- 少子化対策
- 年金制度改革
- 医療制度の持続性
- 世代間公平
- 子育て世帯支援
を、10年単位のロードマップとして明示する。
そして、
- どこを削るのか
- 誰がどこまで負担するのか
- 何を維持するのか
を正面から示す。
そうした
「長期設計」
が見えない限り、人々は制度よりも自衛を優先する。
「制度を信じろ」は限界に来ている
かつては、
- 年功序列
- 終身雇用
- 人口増加
- 高成長
が、制度への信頼を支えていた。
しかし現在は、
- 人口減少
- 成長鈍化
- 負担増
- 将来不透明
という逆方向の圧力が強まっている。
その中で、
「将来は何とかなるから負担してほしい」
という説明だけでは、納得感を得られるわけがない。
終わりに
多くの人は、別に「働きたくない」のではない。
望んでいるのは、
- 過度な不安のない老後
- 持続可能な制度
- 子どもを育てやすい社会
- 将来がある程度読める環境
なのだと思う。
だからこそ今必要なのは、
「負担を増やすか減らすか」
だけの議論ではない。
本当に必要なのは、
「この社会を、どんな形で維持するのか」
を、真正面から議論することではないだろうか。
-
配る前に、取るな──補助という名のコスト構造を疑う
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この記事を書いた人 Wrote this article
ぜんたろう
FP2級/宅建士。お金の話が好物。インデックス投資がメインなのに個別株・ETFにも手を出す。ここ数年で投資スタイルが確立した筈だがジャンク株に心を奪われがち。 --- 永遠の見習いプログラマ (SIer複数→スタートアップ複数→大きめベンチャー)